Appleの最新M5チップがMacBook ProとiPad Proに搭載され、その驚異的なパフォーマンス向上が明らかになりました。しかし、間もなく登場する強力なArmベースのWindowsライバル、Snapdragon X2 Elite Extremeが、2026年前半に新しいWindows Copilot+ラップトップを駆動することで、Appleに大きな挑戦を投げかけます。CPUレースが過熱する中、IntelのPanther Lakeも注目されますが、今回はM5とSnapdragon X2 Elite Extremeの直接対決に焦点を当てます。
私たちのテストラボでM5 MacBook ProとSnapdragon X2 Elite Extreme(48GB RAM、1TB SSDの参照ラップトップでテスト)のベンチマークを実施した結果、驚くべき結果が得られました。この記事では、両チップのCPU、GPU、AI性能を詳細に比較し、どちらが優れているのかを明らかにします。
Apple M5 vs Snapdragon X2 Elite Extreme:CPU性能
Qualcommは、Snapdragon X2 Elite Extremeが前世代のSnapdragon X Eliteに比べてCPU性能が50%向上したと主張しています。一方、AppleはM5チップでM4に対して15%の性能向上を実現しました。両者ともに、次世代プロセッサとして大きな進化を遂げており、CPU性能のベンチマークでは過去最高レベルのスコアを記録しています。
Geekbench 6ベンチマークは、CPUがタスクを処理する速度を測定するもので、特にシングルコアとマルチコアの性能を評価します。参考として、AppleとQualcommの前世代チップの結果も含めて比較します。
Geekbench 6結果
| CPU | シングルコアスコア | マルチコアスコア |
|---|---|---|
| Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-96-100 | 4,074 | 23,449 |
| Apple M5 (MacBook Pro 14インチ) | 4,288 | 17,926 |
| Snapdragon X Elite X1E-80-100 | 2,797 | 14,635 |
| Apple M4 (MacBook Pro 14インチ) | 3,807 | 15,114 |
| Apple M4 Pro (MacBook Pro 16インチ) | 3,910 | 22,822 |
シングルコア性能では、基本的なタスク処理に最適なApple M5が4,288という高いスコアを記録し、Snapdragon X2 Elite Extremeの4,074をわずかに上回りました。この結果は、AppleのMシリーズチップがシングルコア性能でどれだけ進化しているかを示しています。
しかし、マルチコア性能では状況が一変します。マルチタスキングや高負荷なアプリケーションの処理に優れたSnapdragon X2 Elite Extremeは、驚異的な23,449というスコアを記録。これは、AppleのM4 Pro(MacBook Pro 16インチ)のスコアさえ上回る結果です。一方、M5は17,926と健闘したものの、Snapdragonに及ばず。ただし、M5はベースモデルであり、2026年初頭に登場予定のM5 ProやM5 Maxがさらなる性能を発揮する可能性があります。
Apple M5 vs Snapdragon X2 Elite Extreme:GPU性能
最新のSoC(System on Chip)は、専用GPUがなくても優れたグラフィック性能を提供しています。Apple M5は、10コアGPUを搭載し、例えば「Resident Evil 4 Remake」では1080p解像度で最大55 FPS、MetalFXを有効にすると最大120 FPSを実現。一方、Snapdragon X2 Elite Extremeは、次世代Adreno GPUを搭載し、「Cyberpunk 2077」や「GTA V」などのゲームで前世代のSnapdragon X Eliteに比べて最大2.3倍の性能向上を達成しています。
GPU性能の比較には、3DMarkベンチマーク(Solar Bay、Wild Life Extreme、Steel Nomad Light)を使用しました。これにより、実際のゲームプレイのテストは行っていませんが、両チップのグラフィック性能を比較する良い指標が得られました。
3DMark結果
| CPU | Solar Bay (FPS) | Wild Life Extreme (FPS) | Steel Nomad Light (FPS) |
|---|---|---|---|
| Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-96-100 | 88.05 | 69.04 | 41.69 |
| Apple M5 | 90.4 | 73.6 | 39.1 |
| Snapdragon X Elite X1E-80-100 | 49.6 | 38.6 | N/A |
| Apple M4 | 62.7 | 54.9 | 26.9 |
結果:M5はSolar Bayで90.4 FPS、Wild Life Extremeで73.6 FPSを記録し、僅差でSnapdragon X2 Elite Extremeを上回りました。ただし、Steel Nomad LightではSnapdragonが41.69 FPSでM5の39.1 FPSを上回っています。両チップともに前世代から大幅な性能向上が見られ、最新ゲームを60 FPS以上で動作させる能力を持っています。特にAppleのMetalFX技術は、さらなるフレームレート向上を可能にし、ゲーム体験を強化します。
薄型軽量のラップトップでこれほどのグラフィック性能が実現できることは、ゲーマーにとって非常に魅力的です。
Apple M5 vs Snapdragon X2 Elite Extreme:AI性能
AI性能は、最新のラップトップにおいて重要な役割を果たします。Snapdragon X2 Elite ExtremeのHexagon NPUは80 TOPS(1秒あたり兆回の演算)を誇り、Qualcommは「ラップトップ向け最速のNPU」と主張しています。一方、AppleのM5はM4に比べて最大3.5倍のAI性能向上を実現しています。
AI性能を測定するため、Geekbench AI 1.5を使用しました。結果は以下の通りです。
Geekbench AI結果
| CPU | Geekbench AI 1.5 スコア |
|---|---|
| Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-96-100 | 88,615 |
| Apple M5 | 57,242 |
| Snapdragon X Elite X1E-80-100 | 22,182 |
| Apple M4 | 52,193 |
結果:Snapdragon X2 Elite Extremeは88,615という圧倒的なスコアを記録し、M5の57,242を大きく引き離しました。これは、前世代のSnapdragon X Eliteの約4倍、M5もM4から大幅に向上しているものの、QualcommのNPUがAIタスク処理で際立っていることを示しています。Qualcommは、CPUの負荷を軽減しながら複数のAIタスクを同時に処理する能力を強化しており、AI駆動のアプリケーションでの優位性が明確です。
結論:どちらが優れているか?
Apple M5とSnapdragon X2 Elite Extremeは、異なる強みを持つ強力なチップです。
- シングルコア性能:M5がわずかにリードし、日常的なタスクや軽量な作業で優位。
- マルチコア性能:Snapdragon X2 Elite Extremeが圧倒的なスコアで勝利し、マルチタスキングや高負荷な作業に最適。
- GPU性能:M5が僅差でリードするが、Snapdragonも非常に競争力があり、ゲーム性能はほぼ互角。
- AI性能:Snapdragon X2 Elite Extremeが圧倒的な優位性を持ち、AI駆動のタスクで大きな差をつける。
AppleのM5は、バランスの取れた性能とMetalFXのような独自技術で、特にAppleエコシステム内での最適化が強みです。一方、Snapdragon X2 Elite Extremeは、マルチコア性能とAI処理能力でWindowsラップトップに革命をもたらす可能性があります。
ただし、M5はベースモデルであり、M5 ProやM5 Maxが登場すれば、さらに競争が激化するでしょう。2026年のラップトップ市場は、Apple、Qualcomm、Intelの三つ巴の戦いとなりそうです。どちらを選ぶかは、ユーザーのニーズとエコシステムの好みに大きく依存します。





